口腔機能低下症
口腔機能低下症
口腔機能低下症とは加齢だけでなく、疾患や障害など様々な要因によって、口腔内の「感覚」「咀嚼」「嚥下」「唾液分泌」等の機能が少しずつ低下してくる疾患です。放置していると咀嚼障害、摂食嚥下障害など口腔の機能障害に陥りまた、低栄養やフレイル、サルコペニアを進展させるなど全身の健康を損ないます。
高齢者においては、う蝕や歯周病、義歯不適合などの口腔の要因に加えて、加齢や基礎疾患によっても口腔機能が低下しやすく、また、低栄養や廃用、薬剤の副作用等によっても修飾されて複雑な病態を呈することが多いです。そのため、個々の高齢者の生活環境や全身状態を見据えて口腔機能を適切に管理する必要があります。
①食べこぼしが増える
②硬いものが食べにくくなる
③むせやすくなる
④口の渇きを感じやすくなる
⑤滑舌が悪くなる
⑥食事に時間がかかるようになる
これらの症状が複数現れる場合、口腔機能低下症の可能性があります。
「口腔機能低下」を早期に自覚することで生涯にわたり、食べることを楽しみ、会話に花を咲かせ、笑顔が続く健康長寿を支えます。
当院は、口腔機能低下症の診断に必要な様々な診断機器を備えており、検査や訓練を行っています。
口腔機能低下症の7つの下位症状のうち,3項目以上該当する場合に口腔機能低下症と診断されます。
①口腔衛生状態不良(舌苔の付着程度)
②口腔乾燥(唾液分泌量の低下)
③咬合力低下(奥歯のかむ力の低下)
④舌口唇運動機能低下(舌や唇の動きの低下)
⑤舌圧低下(舌の筋力低下)
⑥咀嚼機能低下(食べ物をすりつぶす能力の低下)
⑦嚥下機能低下(飲み込む力の低下)
これらの項目を歯科医院で検査することで、口腔機能低下症の診断が可能となります。早期発見・早期対応が重要であり、口腔機能低下症を放置しておくと、「摂食嚥下障害」などさらに重い口腔機能障害を引き起こし、全身の健康に関わる問題になってしまうこともあります。
毎日の口腔ケアでしっかりと予防するとともに、気になる症状があれば早めに歯科医院に相談しましょう。
年を取ると、お口の状態(歯数、環境、力、動き)に問題が生じやすくなります。
全身の健康のためにも、お口の機能を保ちましょう。
元気なお口で、豊かな食事と健やかな生活、楽しい毎日を送りましょう。
・医科のかかりつけ医をもち、お薬の副作用にも気をつけましょう。
・栄養バランスの良い食事、適度な運動を心がけましょう。
・積極的な社会参加を心がけましょう。
・心身ともに健やかな生活習慣を心がけ、週に一度は外出しましょう。
①口腔衛生状態不良
・歯磨きは1日2回以上、夜、寝る前にもしっかり行いましょう。
・舌の汚れを丁寧に清掃しましょう。
・歯間ブラシ・フロスを1日1回以上は使いましょう。
・ブクブクうがいをしっかりしましょう。
・義歯の汚れをしっかり取りましょう。
②口腔乾燥
・お口をよく動かすようにして、水分摂取やうがいを適切に行いましょう。
・唾液腺マッサージを1日3回行いましょう。
・お口の保湿剤(液・ジェル・スプレー)を使用しましょう。
③咬合力低下
・義歯、う蝕、歯周病などの歯科治療を受け、咬み合わせをきちんと治しましょう。
・干し芋、スルメイカ、ドライフルーツなど歯ごたえのあるものを食べましょう。
・咬みわせの力が発揮できるように咬む筋力を鍛えましょう。
④舌口唇運動機能低下
・早口言葉や滑舌の練習で、舌や唇を素早くしっかり大きく動かしましょう。
・家族や友達とおしゃべりする機会を増やしましょう。
・唇や頬の力を鍛える器具や笛などを使用しましょう。
⑤低舌圧
・舌を口の中ではじいて、ポンッと音を鳴らしましょう。
・舌の筋力を鍛える顔の運動をしましょう。
・舌の筋力を鍛える器具を使用しましょう。
⑥咀嚼機能低下
・義歯、う蝕、歯周病などの歯科治療を受け、咀嚼機能を改善しましょう。
・咀嚼の訓練や、1口に20~30回噛むなどの食べ方指導を受けましょう。
・食事形態の指導を受けましょう。
⑦嚥下機能低下
・飲み込みの検査を受けましょう。
・飲み込みの力を鍛えましょう。
・呼吸の力を鍛えましょう。